本学は、1909年(明治42年)の開学以来、「技術に堪能(かんのう)なる士君子」の養成を基本理念として、世界を先導する高度技術者を輩出するとともに、新技術を創出する研究開発を通して、100年余にわたって、わが国及び世界の産業発展に大いに貢献してきました。

 これまで6万名を超える卒業生、修了生は、国内のみならず世界各国で高度技術者として活躍され、その名声が、今日の本学の高い就職率を支えていると言っても過言ではありません。

 皆様から寄附いただいた100周年記念事業の浄財は、学生の探求力、課題解決力を涵養することを目的として創造学習支援事業にも活用して参りました。この支援は、チームプロジェクト育成の貴重な「種まき」となり、学生達は、各種コンテストに意欲的に参加するようになり、学生フォーミュラ、ロボットコンテスト、電気自動車作成プロジェクトなどを育みました。

 また、100周年記念事業の一つとして企画した小型衛星「鳳龍弐号」の打ち上げは、2016年2月16日に打ち上げられたH-2Aロケット30号機搭載の「鳳龍四号」に繋がり、四号からの発信電波が本学に届いています。

 この他、100周年の事業の支援で国際的に活躍できる技術者育成としてグローバル人材育成を掲げ、当初、提携校への語学学習などを中心に海外派遣を進めて参りましたが、この取り組みは、その後、平成25年度の文部科学省の補助金「国立大学改革強化推進事業」の採択に繋がり、グローバル・エンジニアを養成する教育パッケージの事業を推し進めることになりました。その結果、平成26年度に393名、平成27年度に430名もの学生を海外に派遣することに繋がりました。

 このように100周年記念事業は、今日の本学の特徴的な教育への支援として成果をもたらしました。この支援を継承する形で、この度、「九州工業大学基金」を立ち上げることとしました。
 資源のない我が国にとって人材こそが宝です。この人材を育成するのが大学の使命です。昨今、国立大学を取り巻く環境は厳しく、国からの予算も削減されていますが、日々、経営努力を怠らず、今後も質の高い教育、卓越した研究活動に取り組んで参ります。

 ついては、世界で通用する高度技術者育成のために、海外派遣をはじめ、学生には、自ら学び自ら考える研鑽の機会を与えていきたく、立ち上げました「九州工業大学基金」にご理解、ご賛同いただき、ご支援のほど何卒よろしくお願い申し上げます。

平成28年10月

国立大学法人九州工業大学 学長